矛盾。

 久しぶりに布団に寝転がりながらじっくりと本を読んだ。面白くて心が落ち着いた。ゲームでは得られない平穏だ。

 ゲームについて書いただけで、一日一万人が僕の書いたものを読んでくれる。いや、自慢したいんじゃない。ただそのことを誰かに伝えたいだけだ。その事実を誰かと共有したいだけだ。それを自慢と言われたら、そうなのかもな、と言うしかない。

 もちろんみんなは、僕が書いたものを目当てにやってくるわけではない。ただゲームの情報を目当てに、検索サイトにキーワードを打ち込んで、アルゴリズムの導きに従ってやってくる。

 そこでは僕自身が求められているわけではない。僕の個性が求められているわけではない。

 別にそのこと自体は構わない。個性などというものは犬に召し上がっていただけばそれでいいようなシロモノである。

 それでも時々なんだか寂しい気分になるのは、上にも書いたとおり、「オレ、ブログ書いてるんだゼ」と言える相手がどこにもいないということに起因しているんだと思う。

 ブログを書いていることは家族には言っていない。ごく少数の友人や知り合いには伝えているが、積極的にアドレスを教えたりはしない。

 なぜか教えないかというと、単純に恥ずかしいという気持ちと、知り合いが読んでも面白くないだろうという予想と、知り合いに読まれていると思うと書きたいことが書けなくなってしまうのではないか、という不安があるから。

 これらの問題は、知り合いに見せても恥ずかしくないようなブログを書けば全て解決できるのかもしれない。でもムリだ。僕はくだらないことばかり考えながら生きている人間だし、そもそもなにをやっても、自分を知られるのが恥ずかしいという気持ちに変わりはないと思う。

 そんなヤツがなぜブログを書くのか。それはもちろん匿名だからだし、読んだ人が僕のことをどんな風に思ったのかを知られずに書くことができるからだ。書き方次第だが。

 にもかかわらず、ブログを書いていることは誰かに知ってもらいたいのだ。矛盾している、と思われるだろう。自分でもそう思う。

 この矛盾を解決するにはどうすればいいのか。いっそすべてをオープンにすべきか、それとも孤独を覚悟してやっていくしかないのか。

 まぁ、ブログなんて、たった今この瞬間から書くことをやめてしまえば、それで全て終わりになってしまう程度のものなのかもしれないけれども。