ラーメン屋に行った。味噌ラーメン専門のラーメン屋。いかにも「こだわってます風」のラーメン屋だ。
カウンターに女の店員二名、奥に男の店員一名。
今まで、「こだわってます風」のラーメン屋の店員特有の、気取った感じの男をあまり好ましく思っていなかったのだが、いざ女の店員がフツウにラーメンを作っているのを見ていたら、なんだか拍子抜けした感じを受けてしまった自分がいた。別に女だっていいじゃない、と頭では思うのだけれど。
食券を買う。食券はいい。なにせ注文するときに焦ることがない。
人気No.1と書かれていた、100円増しで味玉付きの味噌ラーメンにしたのだが、食券を渡した後で、味玉のために100円を払うのはもったいなかったんじゃないか?と思い始めた。あまりにお腹が空いていたので、判断力が鈍っていたのだろうか?いずれにせよ、ケチな男である。
店内を見渡す。どうも「こだわってます風」のラーメン屋にしては、店内がこざっぱりしている。もしかすると、「こだわってます風のラーメン屋感」を出しているチェーン店なのかもしれない。
近所の神社の名前が書かれた、正月用の御札が置かれている。これも「地元密着感」を出すための小道具なのだろうか。考え過ぎだろうか。
ラーメンが来る。食べる。おいしい。おいしい味噌ラーメンだ。
そして同時に、あることを再確認する。
やっぱりオレって醤油ラーメン派だな、と。じゃあどうして味噌ラーメン屋に行った、オレよ。
いや、もしかすると、自分が今まで醤油ラーメン派だったのは、おいしい味噌ラーメンを知らなかったせいなのではないか、と思ったのだ 。でもやっぱり僕は醤油派だった。できればあっさりした普通の醤油ラーメンがいい。少なくとも今のところは。
赤ちゃん連れの家族客がやって来る。なんとなく肩身が狭くなる。
麺を食べて終えて、スープを飲む。こういう「こだわってます風」のラーメン屋は、ほぼ例外なく、スープがしょっぱい。「こだわってます感」を出すためにいろいろなよくわからないものを煮込んでいるせいでしょっぱくなるのかもしれないが、よくわからない。
店を出るときに店員に「ごちそうさま」と言ったが聞こえなかったらしい。めんどうなのでそのまま店を出る。
店の前に自販機があり、「不二家 ネクター」が100円だったので買って飲む。ネクターはうまい。一説には、神に献上するために作られた飲み物であるとされている。おおげさ。
おいしかったけど、多分また行くことはないだろう。僕が味噌派に転向してしまったら、どうなるかはわからないが。世界は未知にあふれている。おおげさ。
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