バラバラになったあとで。

 バラバラになった。問題は、言葉を、どこから始めればいいのか、ということだ。

 言うべきことなんて、なにも無いのかもしれない。なにも言わないほうがいいのかもしれない。言葉さえなんとかなれば、人並みになれるのかもしれないと思っていたけど、そんなことはなかったのかもしれない。

 なにを言っているのかわからないと思うけど、僕は、自分でもよくわからない、ばくぜんとした気分のようなものについて、なにかを言おうとしている。

 一番最初は、なにも無かった。光も、音も、匂いも。

 大事なものは、なにも無かった。持ち物も、なにも無かった。

 そのことについて、少し考えた。考えたというよりは、意識を、飛ばした。

 なにも無いことが、いいことだとは思わない。悪くないとも言い切れない。

 ただ、なにも無いところに、なにかをつけ加えることで、ここまで来たのは、間違いないことだ。


 そう。これはリハビリテーションみたいなものだ。


 かつては、自由だった、と思いたくなる。

 それは間違ったこと、じゃない。たぶん。