自分の、バラバラな、気持ち。

 よくわからないのだ。自分の気持ちが。自分の気持ちなんて元々よくわからないものなのかもしれないけれど。

 こうして文章を書くときは、言葉を順番に並べていくので、言葉が指し示す内容も順番に並んでいく。

 でも気持ちは、順番ではなく、バラバラだ。言ったり戻ったり、突然現れて消えたりする。つかみどころのない雲のようなものだ。

 特に今のぼくの気持ちは、いつも以上にバラバラだ。こんなひねりのない、頭の悪そうな文章を書いてしまうくらいに。

 文章に頭の良し悪しがあるのか?ある、とも言えるし、ない、とも言える。

 文章の頭の良さなんて、結局のところ読んだ人の印象でしかない。もしかしたら、文章を解析して書いた人の知能指数を計測するアルゴリズム、みたいなものが将来できるかもしれないし、もしかしたらもうあるのかもしれないが、そもそも知能指数ってなに?人間の知能の働きを数字の大小に置き換えることなんて、できるわけないじゃん。

 そんなことを話したいんじゃなかった。

 気持ちがバラバラであるということ。傷つけながら、守りたいということ。癒やされながら、壊されたいということ。例えばそのようなこと。

 バラバラゆえに、なにをすればいいのかわからないということ。昨日は欲しかったものが、今日にはどうでもよくなる。昨日は大切だったものが、今日には憎らしくなる。昨日は食べたかったものが、今日にはグチャグチャにしたくなる。

 これではなにもできない。これではなにも感じられない。感じるということの意味さえわからない。世界との距離感がつかめない。

 どうしてこうなったのか。理由はわかるようでわからない。原因はひとつなのかもしれないし、全部なのかもしれない。

 ただひとつ、この状態から抜け出したいということだけはわかっている。

 たぶん、ぼくは、なにか追いかけるもの、なにか求めるもの、が、無くなってしまったから、消えてしまったから、こんな風になっているのだろう。

 追いかけていたものや、求めていたもの、そのものが無くなったわけではないのだが、追いかける理由、求める動機、を、見失ってしまった、のかもしれない。

 今のぼくには、まだ自分の気持ちを言葉にするだけの余裕はある。でもそれがなくなったらどうなるか。

 なにか、探さなきゃいけない。進むべき方向を。あるべき自分を。あるいはそれは、もうすでに身近にあるものなのかもしれないが。