ピュアな存在でありたい、と。

 誰かのことを大事にしたいと思う。誰かのことを癒やしたいと考える。それは本当に僕の思いなのか?僕の考えなのか?

 もちろんそうだ、と言いたい気持ちはある。その気持ちは十分にある。でも100%そうだと言い切る自信はない。

 いいじゃんか。開き直っちゃえば。誰だって、誰かのためだけに努力することなんてできない。

 自分が気分良くなるついでに、オマケとして、他の誰かを助けることが出来れば、それで充分じゃないか。

 そうなのかもしれない。そういうことなのかもしれない。でも、自信を持ってそれを肯定する気にはどうしてもなれない。


 僕は一体なにがしたいんだ。宮沢賢治にでもなりたいのか。ムリムリムリムリ。まず丸刈りじゃないし。そこかい。

 なんで、純粋じゃなきゃいけないと思い込んでしまうんだろう、僕は。汚れててもいいじゃん。欲にまみれててもいいじゃん。

 でもやっぱどっかでピュアな存在でありたいと願ってしまうんだね。なんのためにか、誰のためにか、よくわからないんだけども。


 自分の気持を隠してまで、誰かに好かれようとするのはもうやめたいと思うんだけど、じゃあ自分の気持ちってなんなのかというと、結局は欲望しか残らないんじゃないかという気がする。無意味で無価値な欲望しか。

 僕はどうしたかったんだろうか。

 白百合みたいに美しい人と、心温まる話がしたかった。いつまでもしていたかった。

 じゃあ、美しければ、心温まれば、誰でもよかったんだろうか?

 その問いに、答えられずにいる。

 そもそも、誰か一人だけを求め続けることなんて、できるの?

 たった一人を追いかけて、地獄まで行けるくらいの覚悟がなければ、人を愛することはできないの?

 もしかしたら、そうなのかもしれない。


 そもそも僕には誰かを助ける資格なんて無いんじゃないか。

 臆病で、無力だから、弾き返されたんじゃなかったか。

 こんなふうに悩んでいたって、なんの意味もないのかもしれない。