世界の果てには、無数の死体が転がっている。なんの死体だろう。
それらは、僕が今までに見捨ててきたものたち、見限ってきたものたちの、成れの果てだ。
チノパンのポケットに入りっぱなしの予備のボタン。吹かなくなったリコーダー。動かなくなったペットの亀。ダビングした大量のMDカセット。いつか見た景色。いつか聞いた声。いつか過ごした時間。
世界の果てには、そんなようなものが、どこまでもどこまでも散らばっている。果ての果てまで。
最後の僕は、世界の果てを、死者たちの間を、さまよい続けるのではないかと思う。終わることなく永遠に。
そのときまでの命を、限りある命を、今の僕は生きているのかもしれない。あらゆるものを見捨てながら。見限りながら。