本屋に行くといつも闇がはびこっている。闇。闇闇闇。
 全ての闇は心の奥底と繋がっている。闇の奥には、昔なくした鉛筆とか、川に投げ捨てたビール瓶とか、二度と思い出すまいと封じ込めてしまった記憶とかがある。
 それは絶望だったり希望だったりする。ざんばら髪を振り回して向こうからやって来る老婆に似ている。