新商品、イノベーション、変わらない自分。

 新型iPhoneが出た。モンハンが出た。もうすぐPS4やポケモンの新作も出る。

 新商品が発表されると、なんだかワクワクする。でもそれってどうなんだろう、とも思う。「新しくてよいものを買うことこそがよい暮らしなのだ」という資本主義のルールに毒されているような。

 そこで少し考えたのが、テレビが最初に発売された時のこと。きっとみんなものすごくワクワクしただろう。なぜか?それが今までになかったものだからだ。

 人間は、新しいものに心を奪われる。それはおそらく資本主義とは関係なく。

 最初にiPhoneが発売された時、おそらくみんなは「iPhoneを使ってなにが出来るのか」を知らなかった。そしてだからこそ、みんなこぞってiPhoneを欲しがった。スティーブ・ジョブズが「顧客は自分が本当に欲しいものを知らない」と言ったのはそういうことだろう。

 今回のiPhone5SとiPhone5Cの発表に、そういった趣があっただろうか。どうも微妙である。

 5Sの、指紋認証だとかグラフィックス機能の強化とかカメラの性能向上だとかは、まさしく「顧客が既に知っていたもの」の延長線上に過ぎない。iOS7は今のところ、既存の機能にアクセスしやすくなった代わりに操作がやや煩雑になったという印象でしかない。5Cのデザインに関しては個人的になかなか好意的に見ているが、メディアなどでは「廉価版」、つまり既存のものの安いバージョンとして扱われている。

 もちろん、新型のたびに革新的な商品を生み出すのは容易なことではない。とゆーか、「そこそこいいもの」を作るのだって、お金と時間と労力をむちゃくちゃ使わなければいけないのに、そこからさらに見た人がびっくりするようなもの付け加えるなんて、どれだけスゴイことか僕には想像さえ出来ない。

 今回のiPhoneに関していえば、巷で散々言われているジョブズの不在云々以前に、スマートフォンという分野が既に円熟期に差し掛かっていると見たほうが妥当なのではないだろうか。今やスマートフォンの性能はパソコンに限りなく近づいており、ウェアラブルなデバイス(って言いたいだけ)であるという利点によってパソコンを凌駕するものになっているとさえ言える。

 むしろみながAppleに期待しているのは、まだこの世に存在しない、あるいはほとんど普及していない分野、例えばメガネ型デバイスや全く新しいテレビなど、である。



 って、なぜか途中からITジャーナリストの真似みたいになってしまった。なぜだ。

 新商品が出る。ワクワクする。でも、新商品が出るからといって、自分自身に何か変化があるわけではないし、自分が偉くなったわけでもない。そういう話をしようと思っていたのだ。でも眠いから今日はもういいや。