あの頃は動画を作っていた。

 あの頃は動画を作っていたなぁ、と感慨に浸る。そんな昔話おじさん。昔のことばかり考えていたら、先に進めないんじゃあないかと、いつも不安になるけど、何も考えないよりはマシだと思いたい。

 なぜ動画を作っていたのか?って過去形だけど、別に完全にやめたわけじゃない。ただ最近は動画を、特に「音MAD」と呼ばれるようなものを全然見なくなったから、自然とそれを歌う動画を作らなくなったというだけ。

 MAD、というのはニコニコ以前からあったけど、そこに音楽要素が加わった「音MAD」というものが流行り出したのはニコニコ動画が出来てからなんじゃないかと思う。そこにはビーマニのような「音ゲー」の要素も関係していたのでないかと今では思う。あくまで推測だけど。

 「なんだかわからないもの」を音楽に合わせて切り貼りするだけであんなに面白かったのはなぜだろう?ってまた過去形だけど、多分その面白さ自体の本質みたいなものは全然変化していないと思う。ただ僕自身が見なくなったというだけで。

 要するに、流行りのものと定番の曲を合わせればヒットするんでしょ?的な斜に構えた見方をするようになってしまったことや、その「流行りのもの」にほとんどついていけなくなった、というのが、音MADを見なくなった理由に含まれているだろうけど、おそらく最大の理由ではない。

 2012年の10月から、違法ダウンロードに罰則がつくようになった。著作物をネットからダウンロードすると「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」がつくようになった。

 そもそもそれ以前から、著作物をアップロードすることは違法だったわけで、ニコニコ動画というサイト自体がかなりのグレーゾーン、というか、著作者が親告の手間などの理由で見逃しているだけで、実質的にブラックであるということは周知の事実だったし、僕自身そのことはよく知っていた。

 自分が作った動画は、ほとんどが何らかの形で著作物を使用している。もちろん、「投稿→即逮捕」みたいなことは、よっぽど悪質なこと(映画の丸上げを繰り返すとか)をしないかぎり起こらない。それでも、社会的に100%真っ当とは言えないことを続けるのは、「後味のよくないものを残す」ことになるんじゃないか、ということを、違法ダウンロードの罰則化を機に考えるようになったのは間違いない。とか言いつつ今年の夏にもゲームの動画を投稿してるんだけど。

 だから別に著作権的に問題のない動画なら作ってもいいんだけど、どんなのを作ればいいかわからないし、面白く作れる自信もない。そんでブログを書いたりしてるんだけど、やっぱりどんなのを書けばいいかわからないし、面白く書く自信もない。まぁ、そううまくはいかんよね。