2ヶ月ほど前、庭に野良猫がやってきたのを家族が見つけた。

 ケガか病気かわからないが、首元の毛皮がはがれたようになっていて、とても痛々しい。

 エサや水をあげると、ほぼ毎日庭にやってくるようになった。人に慣れているので元々は飼い猫だったのかもしれない。病院にも連れて行き、塗り薬をもらった。

 日々触れ合ううちに、どんどん僕や家族に慣れてきた。頭をこすりつけてきたり、膝の上に乗ってくるようになった。

 やがて家に入れるようになった。最初は戸惑っていたが、一通り家の中を見て回ると危険がないことがわかったようで、すぐにリラックスし始めた。

 そして今では同じベットで寝るようになった。っていうか寝てる。これを書いてる今現在、僕のふくらはぎに前足を置いて座り込んで寝息を立てている。

 
 元々猫好きだったが、実際の猫と触れ合ったことはあまり無かった。そして今。こうして現実の猫と触れ合っている。

 夢のようである。ふわふわしている。あったかい。甘えてくる。エサや水をせがむ。撫でるとお腹を見せる。肉球がある。なんだか香ばしいにおいがする。

 どうやらそこそこ歳をとっているらしく、あまり動き回らないのが予想と違っていたが、そんなのはささいなことだ。そこに猫がいるだけで十分以上だ。

 外に出たがる時もある。1日帰ってこないこともある。そんな時は寂しい。真っ当に寂しい。

 果たしてこれからもこの家にいてくれるのか。それとも来た時のようにふらっと何処かへ行ってしまうのか。それは猫次第だろう。

 傷の方は少しずつ治ってきているようだ。完治したら一度本気でじゃれあってみたいものである。それも猫の気分次第だろうけども。