鼻に指を入れない日々。

 コロナウイルスを始めとする感染症予防のためには、手で顔を触らないようにすべきであるらしい。なので顔を触らないよう意識しながら生活している。

 そうしてみて初めて気づく。自分に鼻をほじる癖があることに。大変汚らしい話で恐縮だが、今回はほぼその話になります。ご了承ください。

 アレが溜まってるな、と感じると無意識に手で取り除く。そんな所作が無意識に染み付いている。ウイルス抜きにしても、単純に汚い。取り除いたものはどこに捨ててるんだ、という話にもなる。


 忘れもしない小学3年生の時。当時の私もまた、鼻を指でクリーンにする(婉曲表現)癖があった。そしてクリーンにしたブツを、あろうことか学校の机の裏になすりつけていた。罪である。罪業である。来たるべき審判の日、私は地獄の炎で焼かれるであろう。大げさ。

 そして私の鼻腔排泄物(婉曲表現)により、机の裏の金属版は日々錆びついていった。当時の私が鉄と塩分の化学反応を理解していたとは思えないが、いずれにせよその事実をどう認識していたか、今では記憶の闇の中に溶け去っている。

 そんなある日の下校前の簡易学級会(「帰りの会」の文語的表現)において、担任のI先生がクラス全員の前で1台の机の裏を示しながら、机の裏に鼻クソ(直接表現)をつける者のせいで錆びてしまっている、という旨の注意を発した。

 もちろん、その机は僕が使っていたものだった。そしてI先生は何らかの方法で(どのような方法でかはやはり忘れてしまったが)、その机が僕のものだとわからないように注意をしてくれた。その配慮に対して今でも感謝している。

 先生の注意を聞いた僕はショックを受けた。その恥ずかしさと申し訳無さを詳しく言語的に理解出来てはいなかったが、とにかく「あ、ダメなんだな」と直感的に悟った僕は、誰にも悟られずに机の裏に鼻のアレをなすりつける癖をやめることができた。いや、小学3年生のやることだから、僕の「なすりつけ」を目撃していたクラスメイトがいた可能性はある。それも結構な確率で。今となっては知る由もないが。

 ただそれでも鼻をほじる癖そのものが無くなったわけではない。代わりにモノを丸めてそのへんに捨てるようになっただけだ。本当に罪深い人間である。子供の頃そこそこの頻度で鼻血を出していたのもあきらかにそれが原因だろう。


 今でも夜中などにこのことを思い出すとたまに「アーッ!!」ってなる。フラッシュバックってやつの軽い版だろう。

 そんな思い出をブログに書くことで少しでも中和できないか、と思い実践してみた昨今。私は完全に鼻に指を入れる癖(やや婉曲表現)をやめている。さほど難しいことではない。なぜなら私はもう大人だから。自分で自分を律することができるから。

 鼻に例の物が溜まったら、ティッシュで鼻をかめばちゃんと出てくる。そのような機能が人間の体にはビルトインされているからだ。人体の神秘に感謝せざるを得ない。大げさ。